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医薬品等の個人輸入は、すべてが一律に禁止されているわけではありません。ただし、輸入者本人の自己使用、品目、数量、輸入方法、必要な手続きなどの条件があります。条件を満たさない場合や輸入が規制されているものに該当する場合は、一般の個人による輸入が認められないことがあります。
個人輸入代行サイトに掲載されていること、注文できること、代金を支払えたことは、日本へ輸入できることを保証しません。輸入する本人が、公的機関の最新情報を確認する必要があります。
この記事では、個別の医薬品等の購入や使用を勧めることなく、個人輸入で守るべき基本ルールを整理します。制度全体は「薬の個人輸入ガイド」、利用前の確認事項は「薬の個人輸入で注意すること」をご確認ください。
薬の個人輸入に関する基本ルール
最初に確認したい基本ルールは次のとおりです。
| 基本ルール | 内容 |
|---|---|
| 自己使用が前提 | 輸入者本人が自分で使用する目的で取り寄せる |
| 販売・譲渡は禁止 | 輸入した医薬品等を他人へ売ったり、渡したりしない |
| 他人分を輸入しない | 家族や知人を含む他人の分をまとめて輸入しない |
| 日本での分類を確認 | 海外での表示ではなく、日本の法令上どの品目に該当するかを確認する |
| 数量を確認 | 品目ごとの数量の範囲と、輸入確認証の要否を確認する |
| 規制品を確認 | 数量にかかわらず確認が必要なものや、輸入できないものがある |
| 必要な手続きを行う | 税関や地方厚生局から求められる書類・手続きに対応する |
| 最新情報で判断 | 法令や手続きは変更されるため、公的機関の情報を確認する |
これらは個人輸入の基本条件です。数量の範囲内であることだけで、品質、安全性、真贋、使用の適否または輸入の可否が保証されるわけではありません。
ルール1.輸入者本人の自己使用に限られる
一般の個人が医薬品等を輸入できるのは、輸入者本人が自分で使用する目的で取り寄せる場合です。海外から配送してもらう場合だけでなく、海外で入手したものを本人が持ち帰る場合も、個人輸入として扱われることがあります。
自己使用とは、輸入する本人が自分で使用することを目的とするものです。次のような目的は、自己使用を前提とする個人輸入とは異なります。
- 販売するための輸入
- 他人へ渡すための輸入
- 家族や知人など他人の分をまとめた輸入
- 店舗、事業、施術などで使用するための輸入
- 転売や継続的な提供を目的とする輸入
「個人名義で注文した」「少量だった」という事情だけで、自己使用の条件を満たすとは限りません。実際の輸入目的が確認されます。
ルール2.販売だけでなく無償の譲渡も認められない
個人輸入した医薬品等を他人へ販売することは認められていません。また、代金を受け取らずに渡す「譲渡」も認められていません。
余ったものを家族や知人へ渡す、SNSなどを通じて無償で配る、共同購入した人へ分けるといった行為も避ける必要があります。「利益を得ていないから問題ない」「知人へ渡すだけだから自己使用に含まれる」とは判断できません。
医薬品等の販売を営業として行う場合には、医薬品医療機器等法に基づく承認・許可などが必要です。個人輸入の特例を、販売や提供のために利用することはできません。
ルール3.家族や知人など他人の分をまとめて輸入しない
厚生労働省は、他人の分をまとめて輸入することは認められないと案内しています。家族、友人、同僚など、相手との関係や代金の有無にかかわらず、輸入者本人以外の分をまとめて注文しないでください。
次のような方法も、自己使用の原則から外れる可能性があります。
- 複数人分を一つの注文にまとめる
- 代表者が全員分の代金を集めて注文する
- 他人に頼まれて代わりに注文する
- 自分の住所で他人の荷物を受け取る
- 受け取った後に他人へ分配する
送料や手数料を抑える目的であっても、他人分のまとめ買いが認められるわけではありません。
ルール4.海外での表示ではなく日本の法令上の分類で確認する
海外で食品、健康関連製品、化粧品などとして販売されていても、含まれる成分や表示内容などにより、日本では医薬品に該当する場合があります。反対に、販売サイトが使用している分類だけを見ても、日本での法的な扱いを確定できません。
確認が必要なのは、次のような点です。
- 日本の法令上、医薬品等に該当するか
- 一般の個人が輸入できる品目か
- 数量にかかわらず確認が必要な品目か
- 別の法令による禁止・規制の対象ではないか
- 医師による処方箋や指示などが必要な品目ではないか
個別の品目がどの区分に該当するか分からない場合は、販売サイトの説明だけで判断せず、都道府県の薬務主管課、地方厚生局などへ確認してください。当サイトでは、個別品目の分類や輸入可否を判定できません。
ルール5.輸入確認証なしで輸入できる数量には範囲がある
一般の個人が自己使用のために医薬品等を輸入する場合、原則として、地方厚生局へ必要書類を提出し、営業目的の輸入ではないことの確認を受ける必要があります。ただし、一定の数量範囲内では、特例として、輸入確認証を取得せずに税関の確認を受けて輸入できる場合があります。
厚生労働省が案内している主な数量の範囲は、次のとおりです。
| 品目区分 | 輸入確認証を取得せずに輸入できる数量の目安 |
|---|---|
| 毒薬、劇薬および処方箋薬を除く外用剤 | 標準サイズで1品目24個以内 |
| 毒薬、劇薬または処方箋薬 | 用法・用量からみて1か月分以内 |
| 上記以外の医薬品・医薬部外品 | 用法・用量からみて2か月分以内 |
| 化粧品 | 標準サイズで1品目24個以内 |
| 家庭用医療機器 | 1セット |
| 使い捨て医療機器 | 2か月分以内 |
| 体外診断用医薬品 | 2か月分以内 |
| 再生医療等製品 | 用法・用量・使用方法からみて1か月分以内 |
この表は2026年7月17日時点の公的情報を整理したものです。数量の範囲は、輸入できることや使用してよいことを一律に保証する基準ではありません。品目によっては、表の数量内であっても輸入できない場合や、別の確認・許可が必要な場合があります。
また、数量は箱数だけで判断できない場合があります。一つの箱に複数個が入っている場合は、内容量を基に確認する必要があります。当サイトでは具体的な用法・用量や個別品目の数量計算を案内しないため、判断できない場合は地方厚生局へ確認してください。
数量内であっても輸入できるとは限らない
「1か月分以内」「2か月分以内」「24個以内」などの数量だけを見て、輸入できると判断することはできません。
次のような場合は、数量内でも輸入が認められないことや、追加の確認が必要になることがあります。
- 数量にかかわらず厚生労働省の確認が必要な品目に該当する
- 医師の処方箋や指示などを確認できなければ輸入できない品目に該当する
- 麻薬、向精神薬、覚醒剤原料、指定薬物など、別の規制対象に該当する
- 知的財産を侵害する物品に該当する
- 自己使用ではなく、販売・譲渡・他人分の輸入と判断される
- 申告内容や提出書類を確認できない
販売サイトの「輸入可能」「手続き不要」といった表示だけを根拠にせず、品目、数量、目的を公的情報と照合してください。
数量を超える場合は輸入確認証が必要になる
特例の数量範囲を超えて医薬品等を個人輸入する場合は、原則として輸入確認の申請が必要です。ただし、申請すれば必ず輸入確認証が交付されるわけではありません。輸入目的、数量、必要性、添付書類などが確認されます。
申請先は、貨物が通関する税関を管轄する地方厚生局です。必要書類や申請方法は、品目や目的などによって異なるため、申請前に担当する地方厚生局の案内を確認してください。
輸入確認証を取得しても、医薬品等の品質、安全性、真贋または使用の適否が保証されるものではありません。輸入確認証は、輸入に関する手続き上の確認であり、国内での承認や品質保証とは異なります。
「薬監証明」は現在の正式名称ではない
以前は、営業目的の輸入ではないことを示す手続きについて「薬監証明」という名称が使用されていました。医薬品医療機器等法の改正に伴い、2020年9月1日以降は「輸入確認証」に変更されています。
古い記事や個人輸入代行サイトに「薬監証明」と書かれている場合がありますが、現在の手続きについて調べるときは「輸入確認証」の案内を確認してください。
厚生労働省の「医薬品等輸入確認情報システム」では、輸入確認証のオンライン申請に関する情報が案内されています。申請の要否や必要書類が分からない場合は、地方厚生局へ確認してください。
数量にかかわらず確認が必要な品目がある
厚生労働省は、医師の処方箋または指示によらない自己使用によって重大な健康被害が起きるおそれがある医薬品等について、数量にかかわらず確認を必要としています。医師の処方箋などを確認できなければ、一般の個人による輸入が認められないものもあります。
対象となる品目や成分は変更される可能性があります。当サイトでは医薬品名、商品名、成分名を掲載しないため、対象の一覧は厚生労働省の最新資料で直接確認してください。
「少量だから手続きは不要」「以前に輸入できたから今回も問題ない」とは限りません。注文のたびに最新情報を確認する必要があります。
輸入が禁止・規制されているものがある
医薬品等の中には、医薬品医療機器等法だけでなく、麻薬及び向精神薬取締法、覚醒剤取締法、関税法その他の法令によって、輸入が禁止または規制されているものがあります。
主な確認対象には、次のような区分があります。
- 麻薬および向精神薬
- 医薬品覚醒剤原料
- 覚醒剤
- 大麻に関する規制対象
- 指定薬物
- 知的財産を侵害する物品
- 条約などによって輸入が制限される原料を含むもの
区分によって、輸入禁止、事前許可、本人による携帯、処方箋等の確認、数量制限などの扱いが異なります。国際郵便などで取り寄せられないものや、本人が携帯して入国する場合に限り一定の条件で認められるものもあります。
具体的な対象や例外を、サイト上の説明や過去の体験談だけで判断しないでください。厚生労働省、地方厚生局麻薬取締部、税関などの担当窓口へ確認する必要があります。
海外から送られる模倣品は個人使用でも輸入できない
海外の事業者から日本へ送られる物品が商標権や意匠権を侵害する模倣品に該当する場合、個人使用の目的であっても税関で没収の対象になります。
「自分で使うだけ」「販売しない」という事情だけで、知的財産を侵害する物品の輸入が認められるわけではありません。また、利用者が注文時に模倣品と認識していなかった場合でも、税関で認定手続きの対象になる可能性があります。
公式URLの確認は偽サイト対策の一つですが、リンク先で取り扱われる医薬品等の真贋を保証するものではありません。個人輸入に伴う品質や偽造品の問題は「薬の個人輸入で考えられるリスク」で整理します。
個人輸入代行サイトを使ってもルールは変わらない
個人輸入代行サイトは、海外事業者への注文、連絡、支払いなどの一部を支援するサービスです。しかし、代行サイトを利用しても、自己使用、数量、禁止行為、輸入確認などのルールが免除されるわけではありません。
利用前に、次の点を確認してください。
- 誰が輸入者になるのか
- 代行サイトがどの手続きを行うのか
- 利用者本人が用意する書類はあるか
- 税関や地方厚生局から連絡があった場合に誰が対応するのか
- 輸入できなかった場合の返送、廃棄、返金などの条件
代行サイトが「手続きをサポートする」と案内していても、輸入確認証の交付、通関、品質、安全性、真贋または到着が保証されるわけではありません。関係者の役割は「薬の個人輸入の仕組み」をご確認ください。
税関から連絡があった場合は事実に基づいて対応する
海外から届いた荷物は税関の確認を受けます。内容によっては、輸入者本人に品目、数量、輸入目的、必要書類などの確認が行われる場合があります。
税関や配送事業者から連絡を受けた場合は、公式の連絡であることを確認し、事実に基づいて対応してください。品名、数量、目的などについて事実と異なる申告をしたり、書類を改変したりしてはいけません。
輸入確認証の要否や品目の該当性について確認が必要な場合は地方厚生局、通関や税関からの通知については税関へ問い合わせます。具体的な流れは「薬の個人輸入と税関・通関」で解説します。
個人輸入のルールを確認する順序
個人輸入を検討するときは、次の順序で確認すると、数量だけを見て判断することを避けられます。
- 健康状態や医薬品等の使用について医師・薬剤師への相談が必要か確認する
- 輸入者本人の自己使用か確認する
- 日本の法令上の品目区分を確認する
- 禁止・規制対象に該当しないか確認する
- 数量と輸入確認証の要否を確認する
- 税関や地方厚生局への手続きが必要か確認する
- 代行サイトの役割、契約条件、輸入できなかった場合の扱いを確認する
- 判断できない事項を公的窓口へ問い合わせる
確認結果を行動単位で見直す場合は「個人輸入代行サイトを利用する前のチェックリスト」をご利用ください。制度、医療、契約などの相談先は「薬の個人輸入で不安があるときの相談先」で整理します。
ルールを守ることと自己責任は別に確認する
個人輸入の条件を満たしていることは、医薬品等の品質、安全性、真贋または使用の適否を保証するものではありません。反対に、「自己責任で利用する」と考えても、法令上の禁止行為や必要な手続きを省略できるわけではありません。
ルールを確認したうえで、判断前に調べる事項、専門家へ相談すべき場面、問題が起きた場合の対応先まで理解しておく必要があります。詳しくは「薬の個人輸入における自己責任の範囲」で整理します。
薬の個人輸入のルールに関するQ&A
Q1.薬の個人輸入はすべて違法ですか?
すべてが一律に違法となるわけではありません。ただし、輸入者本人の自己使用、品目、数量、必要な手続きなどの条件があり、一般の個人が輸入できないものもあります。個別の輸入可否は公的機関の最新情報で確認してください。
Q2.家族や知人の分も一緒に個人輸入できますか?
できません。個人輸入は輸入者本人の自己使用が前提であり、家族や知人など他人の分をまとめて輸入することは認められていません。
Q3.余った医薬品等を無料で他人へ渡してもよいですか?
認められていません。販売だけでなく、代金を受け取らない譲渡も禁止されています。共同購入したものを分けることも避けてください。
Q4.数量の範囲内なら必ず輸入できますか?
必ず輸入できるわけではありません。数量にかかわらず確認が必要な品目、一般の個人が輸入できない品目、別の許可が必要な品目があります。自己使用や必要書類など、数量以外の条件も確認されます。
Q5.医薬品等は何か月分まで輸入できますか?
品目区分によって異なります。毒薬、劇薬または処方箋薬は用法・用量からみて1か月分以内、その他の医薬品・医薬部外品は原則として2か月分以内などの範囲が示されています。ただし例外があるため、個別の判断は地方厚生局へ確認してください。
Q6.数量の範囲を超える場合はどうなりますか?
原則として、地方厚生局へ輸入確認を申請し、輸入確認証を取得する必要があります。申請すれば必ず交付されるわけではなく、目的、数量、必要性、提出書類などが確認されます。
Q7.薬監証明と輸入確認証は同じものですか?
「薬監証明」は以前使用されていた名称です。2020年9月1日以降、現在の手続きでは「輸入確認証」という名称が使用されています。最新の申請方法は、地方厚生局または医薬品等輸入確認情報システムで確認してください。
Q8.個人輸入代行サイトで注文できれば、輸入可能ということですか?
輸入可能とは限りません。サイトへの掲載、注文受付、支払い完了は、日本への輸入が認められたことを意味しません。輸入者本人が品目、数量、規制、手続きなどを確認する必要があります。
Q9.税関で荷物が止まると違法と確定したことになりますか?
確認中であることだけで、直ちに違法と確定したとはいえません。品目、数量、目的、書類などの確認が行われる場合があります。通知内容を確認し、税関や地方厚生局へ事実に基づいて対応してください。
Q10.個別の品目を輸入できるか、どこへ確認すればよいですか?
日本の法令上の品目区分は都道府県の薬務主管課、輸入確認証は担当する地方厚生局、通関や税関からの通知は税関へ確認します。規制対象によって窓口が異なるため、詳しくは「薬の個人輸入で不安があるときの相談先」をご覧ください。
まとめ
薬の個人輸入は、輸入者本人の自己使用が前提です。販売・譲渡、他人分のまとめ買いは認められていません。品目ごとの数量範囲が示されていますが、数量内なら必ず輸入できるという意味ではなく、数量にかかわらず確認が必要なものや、輸入が禁止・規制されているものもあります。
個人輸入代行サイトを利用しても、これらのルールが免除されるわけではありません。サイト上の表示だけで判断せず、厚生労働省、地方厚生局、税関などが公表する最新情報を確認してください。
健康状態、症状、治療または医薬品等の使用に関する判断は、自己判断だけで進めず、医師または薬剤師へ相談してください。次に「薬の個人輸入で考えられるリスク」を確認し、制度上の条件とは別に、品質や健康被害などの問題も理解しておくことが重要です。
個人輸入に関する記事をまとめて確認する場合は「薬の個人輸入ガイド」をご覧ください。